2009年11月29日に目白大学新宿校舎にて、シンポジウム「難治性めまい・耳鳴り・難聴の治療:中耳腔注入療法とは」が開催されました。
前半は坂田英治先生による基調講演で、先生の少年時代の思い出から、研修医を経てドイツや日本で行われた医療活動を発表されました。

◎基調講演を発表する坂田英治先生
めまいは「気の病」などと、医療の現場で軽視されがちだが、実は生命に危険なサインを示している場合があると指摘。耳だけではなく、脳や心臓からくる重大なめまいを見落とすことに警鐘を発していました。
また、ムンクやゴッホの絵はめまいの患者さんが目にする光景が表現されていることや、ベートーベンの難聴は、ヒ素や鉛を多く含むドナウ川の川魚を好んで食べたかことから発すると、芸術家に現れためまいや難聴の症例が紹介されました。
最後に、めまいも耳鳴りもすべては心身の健康から予防されると、以下の言葉を提唱しました。
湯=湯船に浸かり身体を温める
性=異性に関心を持つ若々しさ
眠=よく眠る
栄=栄養をとる
稼=しっかり働いで稼ぐ
これは読みつなぐと「湯性眠栄稼」(ゆうせいみんえいか)とのこと。健康のために、心しておきたい言葉です。
後半は、帝京大学の伊藤健准教授、東京医科歯科大学大学院の川渕孝一教授、小山耳鼻科の小山悟医長、目白大学クリニックの坂田英明院長の4人による講演とパネルディスカッションが行われました。

◎パネルディスカッションの様子
話題の中心は、年間3万5000人にのぼるという突発性難聴の治療にステロイド中耳腔注入療法が有効であり、これをいかに普及させるかということ。
同療法は副作用が少なく(注射針で直接中耳にステロイド剤を流し込む。点滴や飲み薬のように全身に薬が回らない)、経済的、時間的、精神的な負担が少ない。また日帰り治療も可能なので、増加傾向にある国民医療費の抑制にも貢献できる。その一方で、保険点数が定められていないため、同療法の導入をためらうクリニックは多い。
こうしたステロイド中耳腔注入療法を社会的に認知させ保険医療とするためには、エビデンスを取り学会でのコンセンサスを得ることが、今後の大きな課題であるとしました。
会場からは参加者(おもに一般の方)からの質問が飛び交い、めまいや耳鳴りに対する問題意識を持つ人の多さが伺い知れました。
次回のシンポジウムは、2010年の秋に開催される予定です。次回も、より多くの方々が来られることを願っております。