「老いは五感の衰えからくる」といわれますが、いつまでも若々しく暮らすうえで、聴覚の果たす役割は五感のなかでもとくに重大です。
加齢と難聴のかかわりは深く、お年寄りの3人に2人が難聴というデータもあります。高齢社会の日本において、難聴は決して人ごとではありません。その高齢者の老人性難聴は、高音部を聴き取りにくくなるのが主な症状です。
高音部は人に活力を与える音域です。高音部を中心に使った曲を聴くと、体が自然と動き出し、一緒に歌いたくなるような気分になります。これに対し、低音部を中心とした曲はしみじみとした感慨を生み出しても、気分が高揚するような感覚は起こさないでしょう。
高音の音楽を聴くことは、聴覚を磨き、脳を活性化させ、心身ともにいきいきと輝かせる効果があります。実際、高齢者を対象とする音楽療法では、高音部を刺激する音楽を使い、それにあわせてリズムをとったり、体を動かしたりします。すると、参加者の顔がみるみると明るくかわってきます。
聴覚は人にエネルギーを吹き込む感覚でもあるのです。