健聴者は「きく」を中心にコミュニケーションを図ります。耳に入ったさまざまな音を「聞く」、その音が脳に伝わり思考が働いて「聴く」、相手にものを尋ねて「訊く」。「聞く」「聴く」「訊く」という3つの「きく」がグルグルと回ってコミュニケーションは成り立ちます。つまり、健聴者にとってコミュニケーションとは「きく」こと、すなわち聴覚が中心にあるわけです。
もちろん、コミュニケーションの手段は一つではなく、手話や筆談も重要なツールです。しかし、これまで「きく」を中心にコミュニケーションを図ってきた人が、聴覚器に支障をきたすとさまざまな問題が浮上します。音声をスムーズに聞き取れないと脳が混乱し、相手に適切な返事をすることも難しくなるからです。
聞こえることがあたりまえのときには、聴覚に意識を向けることもありませんが、聴力にひとたび問題が生じると、健全な社会生活がおびやかされるほどの大きな不安を招きかねないのです。