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乗り物酔いはなぜ起こる?

 ゴールデンウィークはいかがおすごしでしたか? 
遠出をされた方も多いことでしょう。大渋滞に巻き込まれ、数時間車内に閉じ込められた、という苦い思いをされた方もいるのではないでしょうか。

 遠出には乗り物がつきもの。そして乗り物には、乗り物酔いという心配があります。せっかくの楽しいひとときを、その不快さでつらい思い出に変えたくはないものです。
 乗り物には、酔いやすい人と酔いにくい人がいます。この違いはどこにあると思いますか? それは、乗り物に対する「限界」の違い。その「限界」は、内耳・目・心・前庭小脳の4つが決定します。
 心身の状態が乗り物酔いに大きく影響していることは、多くの方も知っていることでしょう。寝不足だったり、疲れ気味だったり、あるいは乗り物酔いに過度の不安を抱いていたりすると、酔いは増悪するものです。

 一方、ほとんど知られていないのが、前庭小脳の大切さ。前庭小脳とは小脳の一部であり、小脳は平衡感覚を調整する働きを担っています。その小脳に、内耳や目など体の各部から入る情報を伝えているのが前庭小脳です。
 乗り物が起こす揺れや振動、スピードなどの刺激は、人の体にとって、実はとても強いものです。その刺激は、内耳や目などから脳に送られますが、刺激が強すぎて前庭小脳の処理能力を超えてしまうと、さらにその情報を受け取る小脳や大脳は混乱し、自律神経がバランスを乱します。すると、吐き気やめまい、頭痛などのつらい症状、すなわち乗り物酔いが起こるのです。つまり、乗り物酔いは、脳の混乱が体に現れている状態なのです。
 ただし、前庭小脳には、内耳や目から入る強い刺激にブレーキをかけ、適度な状態に調整するという働きがあります。とはいえ、このコントロール力にも問題があります。人によって、その能力が違うのです。コントロール力が適度な人は乗り物に酔いにくく、強弱をうまく調整できない人は酔いやすいという個人差があるわけです。
 ちなみに、この前庭小脳の働きは3~4歳でできあがります。ですから、乳幼児のころは乗り物に酔うことがほとんどありません。
 一方、4歳を過ぎたころから乗り物酔いをしやすい子が出てきます。これは、揺れやスピードなどの刺激に対し、前庭小脳が上手に対応できないことが原因の一つです。ただし、ふつうは高校生のころには乗り物酔いをしなくなります。繰り返し乗るうちに、前庭小脳が訓練されていくためです。

 「乗り物酔いは体質だからしかたがない」と諦めている方は多いのではないでしょうか。しかし実際に乗り物酔いは、心身の状態や前庭小脳の働きに左右されているのです。
 なお、心身の状態を万全に準備して臨むのに、いつも乗り物に酔ってしまうという人は要注意。内耳や小脳になんらかの病気が隠れているのかもしれません。めまいを専門にする医師に一度相談してみることをお勧めします。

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小児病院勤務医師。

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